「to you」2024年7月号
令和6(2024)年6月25日(火)発行
令和6(2024)年6月25日(火)発行
田坂 蘭子さん( たさか・らんこ)
ソプラノ歌手
相愛大学音楽学部声楽学科声楽専攻卒業。同大学専攻科修了。日本歌曲の解釈を塚田佳男氏に師事。オペラでは≪ひろしまオペラルネッサンス公演≫「イル・カンピエッロ」ガスパリーナで本格デビュー後、「修道女アンジェリカ」アンジェリカ、「コジ・ファン・トゥッテ」フィオルディリージ、「イドメネオ」エレットラ、「魔笛」夜の女王、「ドン・ジョヴァンニ」ドンナ・エルヴィーラ、広島シティーオペラ公演「ドン・ジョバンニ」ゼルリーナ、「ラ・ボエーム」ミミ、「道化師」ネッダ、≪はじめてのオペラシリーズ公演≫「リータ」リータ、「ドン・パスクァーレ」ノリーナ、「愛の妙薬」アディーナ、「セヴィリアの理髪師」ロジーナなどさまざまな役を演じる。またラター「レクイエム」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」などの宗教曲のソリストも務める。
藤井清水音楽コンクール最優秀賞、日本歌曲コンクール~座間歌曲祭2018~第1位、奏楽堂日本歌曲コンクール第1位・中田喜直賞および木下記念賞(金)、他多数受賞。府中において「はじめてのオペラシリーズ」を主宰し、「音楽を愉しむ街づくり」にも取り組んでいる。ふくやま日本歌曲塾演奏会員。
『修道女アンジェリカ』のヒロインを演じる田坂蘭子さん。地元、府中市でオペラ団体を主宰するプロデューサーでもあります。公演を前に多才な田坂さんにお話しを伺いました。
府中市で生まれ育ち、普通科の高校に通い、声楽がどういうものかよく分からないまま音楽大学に進学しました。オペラと出会ったのも入学後で、発声練習すら新鮮に感じました。当時、音大生のオペラは舞台美術、衣装、小道具まで全て自分達で手作りするのが当たり前でした。今、故郷の府中市で音楽を愉しむ街づくりとして「はじめてのオペラシリーズ」を主宰していますが、「全てを自分たちで作ろう!」というスピリットは、学生時代のオペラに通じるものがあります。毎回、舞台芸術としてのクオリティにこだわるのはもちろん、出演者やスタッフ、関わる全ての人が「やって良かった!」と笑顔で終わることを目指しています。
10年近く歌曲中心の演奏活動をしていたのですが、この先も長く歌い続けるためにはもっと人と関わり、視野を広げる必要があると感じ、オペラのオーディションを受け始めました。特に「ひろしまオペラルネッサンス」に初出演した時は、一気に多くの人との繋がりができ刺激になりました。また、舞台人としての在り方など表現以外のことも学ばせていただきました。オーディションに受かったり落ちたりを経験する中で、「役がいただけるということは、私と一緒に音楽を作ろうと思ってくださる方がいる」ということが理解でき、今は出演機会に自然と感謝の気持ちが湧きます。
今回演じる修道女のアンジェリカは、離れて暮らす息子が元気でいてくれることだけを心の支えに生きている女性です。その支えがある日突然折れてしまう。人間の本当の悲しみを音楽で表現した、素晴らしいプッチーニの作品です。私の中にある日本人としての感性も声にのせつつ「アンジェリカの祈りよ神に届け」と、強い思いで歌いたいです。
ひろしまオペラルネッサンス『修道女アンジェリカ』 『ジャンニ・スキッキ』はこちら
鈴木敏夫
『ジブリの仲間たち』
(新潮新書刊)
¥946(税込)
美しい映像と心揺さぶる物語で世界中を魅了するジブリ映画。その陰には、映画を多くの人々に届けるために、泥臭く努力を重ねている人たちがいます。
この本は、プロデューサー鈴木敏夫氏が語る、ジブリ映画誕生と、それに関わる仲間達のお話です。ジブリ映画をどのように世に送り出し、人々の心を掴んでヒットさせてきたのか。そこにかける情熱が余すところなく語られています。『もののけ姫』の「生きろ!」に代表される、人々の記憶に残るキャッチコピーがどのように生まれたのか。映画公開前の緊張感、試写会での反応、そして大ヒットの裏側まで、臨場感で溢れる表現で書かれています。
単なる裏話にとどまらず、鈴木氏のユーモアあふれる語り口から、映画制作に携わる人々の葛藤や夢、そしてジブリ作品への深い愛情が伝わってきます。ジブリ映画が好きな人にはもちろん、創作活動に関心のある人、夢中になれる事を見つけたい人にもおすすめの一冊です。
子どもと大人が一緒に楽しめるパフォーマンスを届ける。7 月15 日( 月・祝)5-Daysこども文化科学館「こども劇場 おんぷらんとのつくえの上のショータイム」に出演。
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歴史散策 ぐるっと黄金山
文・写真:to you 市民パブリシスト 檜垣全次郎
かつてはデルタ地帯の河口に浮かぶ島だった黄金山。広島市郷土資料館の学芸員玉置さんのガイドによる黄金山の裾野に残る島であった痕跡を巡るイベントに参加させていただきました。
広島が城下町として栄え始めた頃から土地を求めて干拓などで沿岸を陸地化してきた歴史。緩やかな曲線となっている道はかつて沿岸であったことの名残、雁木(階段状の船着場)のあった場所、瀬戸内海の島々にあった石風呂。現場に立って昔の風景写真と景色を見比べてみると過去と現在が交差します。
イベントは広島市郷土資料館の「デルタの三山-比治山、黄金山、江波・皿山の今昔-」という企画展と関連して、仁保公民館、大河公民館、楠那公民館の共催で開かれました。ご当地の公民館エリアから参加された方は、子供の頃見た風景の記憶を口にされたり、知らなかった地元の歴史を語り合ったりされていました。
一方で広島市の広報や広島市郷土資料館でイベントを知り、南区以外の地域からの参加者も多くこちらの方々も歴史を感じる散策を楽しまれていました。
遠い江戸の時代から徐々に陸地と繋がり、現在では海からどんどん離れていった黄金山。入江だったという公園の近くに建立されている石碑の碑文はここに架かっていた橋の歴史を刻んでいました。石碑を読まなければ橋がこの場所にあったことは誰も気づきそうにはありません。日常生活では素通りする景色も石碑の内容も、説明を聴いて初めて気付くことばかりで、歴史を感じる眼差しを持って散策する楽しさを実感しました。
新旧の建造物と新緑に囲まれた集落の中を歩き、小高い神社の境内から街並みを眺め、かつてそこにあった波打ち際と海岸で暮らしていた人々の営みを実際に見てきたような余韻の残るイベントでした。
「to you 市民パブリシストによるバックステージレポート」は3ヵ月毎に掲載します。
日頃よりto you をご愛読いただきありがとうございます。今後のより良い情報提供のために、アンケートを実施します。
ご回答いただいた方には抽選でQUO カード(1,000 円×15 名)をプレゼントします。締切:2024 年7 月31 日(水)
アンケートの入力フォームはこちら
先日広島交響楽団の音楽の花束コンサートに行ってきました。久しぶりのフェニックスホール。美しいお花で飾られており、コンサートも素晴らしかったです。広響さんのSNS登録で50 名に小さな花束をいただけるプレゼントもありましたよ。演出を含め音楽にお花に癒されました。(東区 広響最高でーす!さん)
☆ 想像以上に音楽をお花でより豪華にしたコンサートで、気持ちも華やかになりますね。暖かくなっていく季節のスタートにぴったり。この先1年の広響コンサートも楽しみですね。(編)
マツダタウンフェスタ2024に出掛けた。ウェブでの入場予約に始まりコンテンツ予約も抽選だった。キッズ塗装体験に当選した小学生の息子は白地に赤のロードスターのマグネットをお土産にもらい上機嫌だった。会場ではフルカラーの立派なパンフレットをはじめタウンフェスタのデザインのウェットティッシュやペットボトルの配布など至れり尽くせり。何より出迎えて下さる社員の皆さんの笑顔で気持ち良い一日を過ごせた。(佐伯区 sinceさん)
☆ 想車好きの息子さんはきっと凄く喜んだのでしょうね。特にキッズ塗装体験は貴重で、もしかしたら趣味に目覚めたかも!? 大きくなった時にこの時の体験をいきいきと話してくれたらいいですね。(編)
「to you」6月号掲載の「もぐりんと歴史探検」、栄光ある第1回目は広島市中工場。2022 年のアカデミー賞国際長編映画賞受賞の映画「ドライブ・マイ・カー」のロケ地を訪れたことを懐かしく思い出しました♪ 次回からどんなところをご紹介くださるか楽しみにしています。(廿日市市 小川洋子さん)
☆ ロケ地を訪れると、再び映画の世界に浸れて感慨深いですよね。新しいデザインの「もぐりん」(気づかれましたか?)がこれからもおすすめの歴史スポットを紹介します。お楽しみに!(編)
「Mail Box」に投稿してくださった方には抽選でプレゼントを進呈いたします。
❶ひろしまオペラルネッサンス『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』鑑賞券(2組4名様)
❷宮城県美術館コレクション えほんのひみつ展鑑賞券(5組10名様)
❸2024「平和の夕べ」コンサート鑑賞券(2組4名様)
投稿は、投稿フォーム、FAX、郵送で受け付けています。詳しくは「『Mail Box』への投稿はこちら」からご確認ください。
◆締切/令和6年(2024)年7月10日(水)※当日消印有効
(公財)広島市文化財団 企画事業課「to you」係
TEL.082-244-0750 FAX.082-245-0246