「to you」2024年11月号
令和6(2024)年10月25日(金)発行
令和6(2024)年10月25日(金)発行
北田 千尋さん( きただ・ちひろ)
ヴァイオリニスト
広島市出身。3歳よりヴァイオリンを始める。桐朋学園大学音楽学部卒業、同大学院修士課程修了後、ブリュッセル王立音楽院を経てマーストリヒト音楽院にて研鑽を積む。東京・春・音楽祭、宮崎国際音楽祭、霧島国際音楽祭、別府アルゲリッチ音楽祭等に出演。 日本フィルハーモニー交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、スロヴァキア放送交響楽団など国内外のオーケストラと共演。ソリストのほかオーケストラのゲストコンサートミストレス、室内楽奏者としても国内外のコンサートに出演。カルテット・アマービレのメンバーとして第65 回ARD ミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門にて第3 位及び特別賞受賞。ニューヨークで行われたヤングコンサートアーティスト国際オーディション第1位。霧島国際音楽祭賞、堤剛音楽監督賞、ホテルオークラ賞など数々の賞を受賞。マルタ・アルゲリッチ、ダン・タイ・ソン、ポール・メイエ、イェルク・ヴィトマン、エリソ・ヴィルサラーゼ、エルサレム・カルテットほか著名な音楽家と共演を重ねる。これまでに川本義幸、小室瑛子、村上直子、篠﨑功子、堀米ゆず子の各氏に師事。2024年7月より広島交響楽団コンサートマスター。
広島交響楽団(以下広響)のコンサートマスター北田千尋さんに、故郷広島での思い出や11月の演奏会について伺いました。
広響の演奏会に行く機会は、幼い頃から多くありました。さまざまな楽器が作り出す豊かな響き、重厚感に圧倒され、音を浴びる感覚で聴いていました。中学生の頃の、東日本大震災直後の定期演奏会は今でも印象に残っています。プログラムとは別に演奏されたエルガーの『ニムロッド』がとても心に響く演奏でした。亡くなった祖父と二人で行った演奏会でもあり、私にとって大切な思い出になっています。
このたび、広響のコンサートマスターという大役に驚きと不安もありましたが、オーケストラという新しいステージに挑戦できることは何よりもうれしく、それが故郷の慣れ親しんだオーケストラで本当に光栄に思っています。広響の伝統をしっかりと受け継ぎつつ、たくさんの方と音楽を通じて繋がっていけるよう一つ一つ真摯に向き合ってまいります。
『シン・ディスカバリー・シリーズ 第3回』のテーマは「ふたりのヴォルフガング」。同じ名を持ち、共にオーストリア出身のモーツァルトとコルンゴルト。プログラムで同時に組み合わされることはあまりなく、意外な比較が面白いと思います。ソリストは世界で活躍されている広島出身のピアニスト萩原麻未さん。地元での演奏はきっと特別なものとなるでしょう。そしてアルミンク音楽監督のチャーミングで熱い解説にもぜひご注目ください。
『第446回定期演奏会』では、“広響マニアック倶楽部”でお馴染み?のマルティヌーが登場します。ゲルハルト・オピッツさんをお迎えしてお届けするブラームスのピアノ協奏曲も本当に美しい曲です。
落ち着いて念入りな準備を大事にしたいと思っていますが、つい詰め込み過ぎて切羽詰まることもあります。そんな時でもしっかり寝ること、食べることはおろそかにしないようにしています。何はともあれ健康第一です! 緊張するとなぜか猛烈な睡魔に襲われるクセがあり、本番前に仮眠を取ることが多いです。周りの人にはなんて図太い神経!? と思われているかもしれません(笑)。
「広島交響楽団シン・ディスカバリー・シリーズ」はこちら
「広島交響楽団 第446 回定期演奏会」はこちら
『さかなのこ』
監督・脚本:沖田修一
脚本:前田司郎
原作:さかなクン「さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~」(講談社刊)Blu-ray& DVD 発売中
発売・販売元:バンダイナムコフィルムワークス
©2022「さかなのこ」製作委員会
のんさん主演、沖田修一監督の映画「さかなのこ」。実在する魚類学者の宮澤正之さん、通称”さかなクン”の半生をフィクションを織り交ぜながらコミカルに描いた心温まる映画です。主人公のミー坊は、物心ついた頃からとにかく魚が大好きで、水族館に通い、魚図鑑を読みふけり、魚の絵ばかり描き、学校ではお魚新聞を発行し、魚釣り、魚の飼育など、魚のことばかり考えて暮らし、大人になっていきます。そんなミー坊を応援し続けてくれるお母さん、心配するお父さん。幼なじみのヒヨ、モモコ、高校で出会う総長や不良のお友達など、なんやかんや仲良くしてくれる友人たち。個性あふれる登場人物一人一人がとても魅力的な作品です。ミー坊の純粋な”お魚が好き”という気持ちはミー坊だけでなく周囲の人々もハッピーにしていく不思議なパワーを持っています。原点となるその気持ちを忘れずにいることで、情熱や追求心が加速し、人生はもっと楽しく輝いていくのだと思います。
広島市出身のヴァイオリニスト。桐朋学園大学卒業。現在、ブリュッセル王立音楽院に留学中。12月4 日、広島プロミシングコンサート2024 にて広島交響楽団と共演。
吉田 洋さん |
身近な広島の海の生き物について、水産振興センターの吉田さんに教えていただきます。 |
「広島湾七大海の幸」にも選ばれているコイワシ
広島県で最も多く漁獲される魚、コイワシ。20年近く前、水産振興センター近くの船溜まりに大群で秋頃現れ、釣竿や網を持った人たちで賑わいました。令和5年の農林水産省の統計によるとシラスをあわせて16,200 tと県全体における漁獲量の約85%を占めています。「カタクチイワシ」より「コイワシ」の名称の方がピンとくるかもしれません。昔から刺身などで食されてきた、広島のソウルフードの一つですね。
昔は広島市内にコイワシ専門の行商人の方がいて、その日水揚げされた新鮮なコイワシを“なんまんえー”と威勢の良い掛け声とともに、天秤棒または荷車で売り歩きました。“なんまんえー”の語源は、江戸時代の広島城下の鷹匠町(今の中区十日市町付近)で、鷹狩り用の餌としてコイワシを販売していた売り子の「生餌(なまえ)」の売り声が訛ったものという説があります。
広島県のカタクチイワシ漁は毎年6月10日に解禁されます。「いわし船びき網漁業(パッチ網漁業)」と言う漁法で行われ、二隻の小型船が同じ速度で1つの大きな網を引っ張ってその群れを獲らえます。魚偏に弱いと表すようにイワシ(鰯)は、傷むのが早いことから、高速運搬船が近くに待機しており、水揚げして直ぐに氷で冷やしながら市場や加工場等に運びます。
広島湾では5~8月が主な産卵期とされ、ふ化後1~2ヶ月で1~2㎝の稚魚(シラス)となり、加工されたものが「チリメンジャコ」と呼ばれます。シラス漁では目の細かい漁網を使うため、シラス以外の様々な小さな生き物もシラスと一緒に漁獲、加工(釜茹、乾燥等)されます。食品「チリメンジャコ」として販売される際には、シラス以外の生き物は取り除かれます。このことに注目した「きしわだ自然資料館」が、シラス以外の小さな生き物をチリメンモンスター(略してチリモン)と紹介して以来、全国のイベント等で人気を博しています。水産振興センターが開催する体験学習会「海辺の教室」でもこのテーマを取り上げており、大人気です。子供だけでなく大人もルーペや図鑑を片手にレアなチリモン探しに夢中になります。楽しみながら、広島の漁業や生物の多様性、海の食物連鎖などを学習することができます。
広島の食文化を語るうえでも欠かせないカタクチイワシ、ぜひこれからも注目してください。
豆知識
「広島湾七大海の幸」のホームページにコイワシのおろし方を動画で紹介しています。
http://www.hiroshima-wan.net/
※「見てみよう! 広島の海」は3ヶ月毎に掲載します。
INAGO-DX(イナゴデラックス)=演劇=
代表の武田宜裕さんが一緒に作品を作りたい人に声をかけたり、公演を観に行ったことをきっかけに集まった社会人18名による劇団。定期公演のほか、県外公演、公民館まつり、文化センターとの共催事業、屋外公演など、精力的に活動中。「三ツ星シェフが作る最高のスナック菓子」を合言葉に、男優だけの奇想天外なオリジナル作品を上演してきましたが、近年は男優女優にこだわらず、生身の人間が観客の眼前で演じるライブ感を大切にした舞台作りがされています。可笑しさの中に切実さや切なさが感じられるような作品が特色です。
◆メンバー募集中
練習見学可(要問合せ)✉inagodx.info@gmail.com
◆『雲の行方』
ヘビースモーカーの父とバカ力の母を両親に持つ少年が、父に起きた事件をめぐって飛び交うウワサの真相を追い求めながら思春期を駆け抜けていく。
月日/11月15日(金)~11月17日(日)
会場/山小屋シアター
詳しくはこちら
小学生の息子が三滝少年自然の家での宿泊体験事業に参加した。今回のテーマは「古代キャンプin三滝」。火おこし体験や弓矢体験、埴輪のミニフィギュア作り等の多彩なプログラムで大充実の2日間だったようだ。座学中心の学校の授業とは違い、手を動かしていろんな体験を実践することで古代人の文化が分かり楽しかったと笑顔で話してくれた。このような素晴らしい体験ができる施設が身近にあり、とても感謝している。 (佐伯区 sinceさん)
☆ 今では文明の利器を使って簡単にできることが当時はいかに大変だったかがを知ることができる良い機会でしたね。この体験が大人になっても生きる知恵や力になりそうです。(編)
葉っぱの切り絵アーティスト リトさんの葉っぱ切り絵展に行ってきました。1 枚の葉っぱの上に広がる温かい物語に癒されました。心が温まって幸せな気持ちになり、会場を後にしました。「ずっとずっと、みんなを見守ってるよ」「いつでも君のそばにいる」とタイトルが付いた葉っぱの切り絵が特に心に残りました。私事でいろんなことがあり心が折れそうな日々ですが、一歩前に進めそうです。 (呉市 赤毛のアンさん)
☆ 切り絵の細やかさだけでなく物語も伝わってくる作品なんてリトさんの想いが存分に込められていますよね。言葉では表せられない癒しの効果に元気をもらえそうです。(編)
残暑厳しい中、三次の雲海を見に行ってきました。三次市内からも近い高取山の展望台です。前々から行ってみたいと思っていたところ、海開き(雲海なので山開きでなく)の行事があることを知り、日の出に合わせて朝6時ごろ着きました。さすがに県北の朝は肌寒く、霧も結構出ていました。これから寒くなると霧も増え、見ごたえがあるそうです。兵庫県の竹田城跡の雲海は有名ですが、それに勝るとも劣らない景色を味わえました。 (西区 平井忠博さん)
☆ 朝早く家を出た甲斐があったほどの見ごたえだったのでしょうね。日本でも限られた地域でしか見られない絶景は一生の思い出になりますね。(編)
「Mail Box」に投稿してくださった方には抽選でプレゼントを進呈いたします。
❶広島映画サークル「ぼくたちの哲学教室」招待券(3組6名様)
❷ジパング 平成を駆け抜けた現代アーティストたち鑑賞券(5組10名様)
❸ティンティン・ウリア:共通するものごと鑑賞券(5組10名様)
❹広島プロミシングコンサート2024(3組6名様)
投稿は、投稿フォーム、FAX、郵送で受け付けています。詳しくは「『Mail Box』への投稿はこちら」からご確認ください。
◆締切/11月10日(日)※当日消印有効
自転車に 乗らない吾子を お祭りのやうに 抱へて家まで帰る
熊谷 純(第33号一般の部・短歌部門)
やきいもは 口の中で おどってる
川口 蒼來(第33号ジュニアの部・小学生低学年俳句部門)
(公財)広島市文化財団 企画事業課「to you」係
TEL.082-244-0750 FAX.082-245-0246