「to you」2024年2月号
令和6(2024)年1月25日(木)発行
令和6(2024)年1月25日(木)発行
福名 理穂さん(ふくな・りほ)
脚本家・演出家・ぱぷりか主宰
1991年生まれ。広島県出身、東京都在住。20歳まで広島で過ごし、中学時代から「役者と触れ合う仕事がしたい」という漠然とした夢を抱えて上京。19歳の頃ノゾエ征爾氏(はえぎわ)の『ガラパコスパコス~ HIROSHIMA ver. 』(演劇引力廣島 第9回プロデュース公演/2012)に演出部として参加し、演劇の表現の豊かさに感銘を受ける。2012年、奥山雄太氏(ろりえ)のゼミに一年間通い、作・演出として短編作品をいくつかつくる。卒業後、「はえぎわ」、「ろりえ」、「小松台東」などのスタッフとして経験を経て、日常のリアルな会話と心情を描く舞台を目指す。2014年7月「ぱぷりか」を旗揚げ。以降、「ぱぷりか」全作品の作・演出を務める。2021年に上演した第5回公演『柔らかく搖れる』で、第66回岸田國士戯曲賞受賞。
2022年「アステールプラザの演劇学校」[俳優コース]講師
2023年9~10月『柔らかく搖れる』東京、豊岡、広島で再演ツアー
アステールプラザ主催の演劇プロジェクト「演劇引力廣島」に参加後、上京し、2021年に『柔らかく揺れる』で演劇界の芥川賞とも呼ばれる岸田國士戯曲賞を受賞。この度、書き下ろし作品『跡先』を携えて演出家として演劇引力廣島に戻ってきた福名さん。新作について伺いました。
中学時代の部活で演劇を経験し、ちょっとした提案で役者の動き、舞台の見え方が変わることが面白くて、漠然と役者と関わる仕事がしたいと思うようになりました。その思いと自分の将来がどう結びつくのか見当もつかない19歳の時に、ふとしたきっかけで演劇引力廣島プロデュース公演(※)に演出部で参加して、約2か月間、毎日がインパクトの連続でした。演出家のノゾエ征爾さんと出会い、ちゃんとした演劇の作り方を初めて経験し、ノゾエさんの演劇に向かう熱い思いを間近に見るうち、自分は演出家として演劇に関わりたいのだと気づきました。演劇をするなら東京に行かなくちゃ始まらない、ということで20歳で足取り軽く上京しました。あまりにもあっさり私が旅立ったので、母はすぐ戻って来るだろうと思っていたようです(笑)。
※演劇引力廣島 第9回プロデュース公演『ガラパコスパコス HIROSHIMA ver.』
今回の『跡先』は、私の亡くなった祖母との想い出がベースになっています。住む人がいなくなると家は知らないうちに荒れていて、思い出の家財も処分せざるをえない現実。全く気にも留めていなかった何気ない時間や物たちは、実は意外と大切なものだったのでは…。その一方で、新たな命の誕生や成長があり、亡くなった人とこれから生きる人との世代交代のような感覚も味わい…。これらの経験を通して、綺麗じゃなくてもいいから希望がある物語を、面倒で先延ばしにしていた事を「やっておこうかな」と思えるような作品を作ろうと思いました。
私の場合は、生きてきた中でどうしても考えてしまうこと、無視できないことが作品の原動力になっています。私自身が後悔しないように、そして観てくださった方も後悔をしないですむような作品を作りたいです。今回も登場人物の中の誰かと自分をリンクさせて見ていただけるのではないでしょうか。ぜひリラックスして、楽しんでいただきたいです。
「演劇引力廣島 第20回プロデュース公演『跡先』(作・演出:福名理穂)」はこちら
著:原田マハ
594円(税込)
出版社:幻冬舎
ニューヨーク近代美術館に勤務後、キュレーターとして独立し、その後、カルチャーライターとして執筆活動を開始された原田マハさん。美術と美術館を題材とした著書が多くあります。この短編集は、ゴッホ、ピカソ、セザンヌ、クリムト、東山魁夷、モネ、6人の画家の絵を題材にした、その絵にまつわる6篇の物語です。それぞれ代表的な絵画を軸に、登場人物の人生に寄り添い、現実の困難な状況から勇気を得る心温まる物語です。最初の「ハッピー・バースデー」は、広島が舞台のお話です。馴染みの地名やカープ、お好み焼き、8月6日など「広島」が随所に表れ、主人公の就活や誕生日にまつわる逸話等、状況を思い浮かべながら読み進める事ができて嬉しかったです。この物語には、ひろしま美術館所蔵のゴッホの「ドービニーの庭」が登場します。本を読まれたら「ひろしま美術館」を訪れて「広島のゴッホ」として親しまれているこの作品を鑑賞してみてください。
久保 晴盛さん |
季節でさまざまな表情を見せる広島市植物公園。広報の久保さんに、季節の見どころや植物公園だけのコレクションを紹介していただきます。 |
春の特別ラン展~ランで祝う新サッカースタジアム
本園はランの収集・展示に力を入れており、現在2,300種類以上を保有しています。ランは地球上で最も進化し繁栄した植物の一つであり、野生種だけでも3万種にも及ぶとされています。大温室とフクシア温室では通年で展示をしていますが、多彩で優美な花姿にはいつも驚かされます。
春の特別ラン展は、本園が最も力を入れている展示会です。今年は、大温室を中心に、約500種類20万輪の洋ランを展示します。県内外の愛好家や生産者が手塩にかけて育てた自慢のひと鉢のほか、会場を華やかに彩る西日本最大級のテーマ装飾も大きな見どころです。今回のテーマは「ランで祝う新サッカースタジアム」。紫を基調に、カラフルなランの切り花などで競技場やサッカーを表現します。
【2023年春の特別ラン展の様子】
関連イベントとして、サンフレッチェ広島アンバサダー 森﨑浩司氏のトークショー(2月18日(日)13:30~先着100名)や親子ふれあいサッカー体験(同日15:00~先着30組の親子)を開催。ランの即売や洋ランクリニック(栽培相談)は会期中毎日やっています。
植物公園で華やかな春の訪れを感じてみませんか?
※「植物公園 季節の花散歩」は今号をもって終了します。1年間ありがとうございました。
●バレンタインフェスティバル
2月10日(土)~2月14日(水)
切り花プレゼント(フラワーバレンタイン)やチョコレートの講演会などを実施。
●春の特別ラン展
2月17日(土)~2月25日(日)
多種多様なランを大温室を中心に展示・装飾し、ランの魅力を紹介。
●フラワーデザイン展
2月17日(土)~2月23日(金・祝)
切花やドライフラワーなど、様々な素材を生かしたフラワーデザイン作品を展示。
現在の部員は 30名。入学式、文化祭、創立記念式での演奏のほか、コンクールやコンテスト出場に向け、日々練習に励んでいます。過去には広島市の『文化の祭典』、『第九ひろしま』(2022)、マツダスタジアムで国歌斉唱(2017)の演奏経験も。顧問の吉野谷先生は「皆の声と気持ちが揃うこと。また、少しずつでも自信を持って歌えるように。そして、言葉や思いが伝わる表現」を心掛け、指導しているそうです。毎年、クラブの目標を漢字一字に決め、その言葉を宮島杓子に記し、心を一つにしてきました。2023年度の目標は「紡(つむぐ)」。一人ひとりが発する音を寄り合わせ、その思いや表現を1つの音楽として作り出せるように、という思いが込められています。
広島映画サークルの「桜色の風が咲く」を見ました。実話を元にした映画で久しぶりに感動しました。次回は「ガザ 素顔の日常」だそうです。映画館では見られない作品をありがとうございました。世話人の方に感謝。(安芸区 はあさん)
☆大きなスクリーンで見ると感動もより深いですよね。広島映画サークルは会員になると一般料金よりお得に鑑賞できるそう。年4回、良質な作品を見る楽しみを持つのもよさそうですね。2月の作品も興味深いです。(編)
三原市立図書館に行くときは新着棚をチェックしている。歴史小説は好きなので「浪華(なにわ)燃ゆ」(著:伊東潤)を見て手に取った。大塩平八郎の物語と分かり借りた。「大塩平八郎の乱」として高校生の時に習い悪い人としか記憶になかったが、読み進めると違った。元々は大坂町奉行組与力として活躍していた。汚職を嫌い、不正を次々と暴いた(現代にもこういう政治家がいて欲しいものだ)。広島ゆかりの頼山陽とも交流していたのも知った。その後陽明学に傾倒して塾を経営し飢饉で苦しむ民を見過ごせず武装蜂起に走った。歴史を元にした小説をこれからも読み続けたい。(三原市 竹内千香子さん)
☆大人になって改めて歴史を知ると新たな発見がありますよね。三原といえば村上海賊の能島村上家に宛てた大友宗麟の書状(1571年)が発見され、2月10日(土)~25日(日)三原市民ギャラリーで開催の企画展で初公開されます。こちらもぜひ。(編)
水産振興センターで毎月開かれる海辺の教室に小学生の息子と参加した。12月のテーマは「貝殻で作品づくり」。貝の学習ではトレーに入った複数の貝殻を分類しようというお題が出た。形や模様を見比べながら親子で協力して取り組んだ。「イシダタミガイ」はその名の通り石畳のような模様で自然が作り出す美しさに感心した。作品づくりではサルボウガイを使い素敵な写真立てを仕上げた。幾つになっても新しいことを知るのは楽しい。(佐伯区 sinceさん)
☆イシダタミガイ、調べてみましたが美術品の素材として使えそうなほど綺麗ですね。作った写真立てに家族写真などを飾ったら思い出も一層深まりますね。(編)
「Mail Box」に投稿してくださった方には抽選でプレゼントを進呈いたします。
❶演劇引力廣島第20回プロデュース公演『跡先』鑑賞券(2組4名様)※2月24日(土)19:00の回です。
❷広島映画サークル協議会第440回例会「ガザ 素顔の日常」鑑賞券(3組6名様)
❸現代美術館「とびたつとき 池田満寿夫とデモクラートの作家」鑑賞券(5組10名様)
投稿は、投稿フォーム、FAX、郵送で受け付けています。詳しくは「『Mail Box』への投稿はこちら」からご確認ください。
◆締切/2月10日(土) ※当日消印有効
雪溶けの 田にいくつもの泉湧き 春という名の ひかりを満たす
西楽 紀恵(第32号一般の部・短歌部門)
雪うさぎ とんではねて メヌエット
すず木 しらべ(第32号ジュニアの部・小学生低学年・俳句部門)
(公財)広島市文化財団 企画事業課「to you」係
TEL.082-244-0750 FAX.082-245-0246